誰か見ている
タックン2001年8月27日UP

 信じまいと信じようと、いる物はいるのである。そう私は信じている。霊感は無い方。でもあのホテルでは違った。まぁよくある話である。
  フランスの観光都市A古城ホテル。そこは中世の昔から、戦いの舞台、血塗られた場所であり、要塞そのものなのだ。こんな説明をお客様に話しておきながら、自分自身何の構えも無かった。そのホテルに入るなり、これから起きることが想像できるような舞台装置が揃っていた。ホテル自体の規模は大きくないだが、建築様式がそれ以上に感じさせる。歴代領主の住まい兼城塞都市の一辺をなしているその建物の内部は、狭いホールの連続で、扉により仕切られ、薄暗く、段差があり、いたる所に甲冑や剣、肖像画が飾られている。一気に攻め込まれない様式であることが理解できる。女性誌アンアン風に紹介するならば、「まさにタイムスリップ!セピア色の中世の夢幻に思いを馳せ、扉の向こうに続く城物語」てな感じである。
本日の業務がすべて終わり、夜を迎えた。静寂が支配するホテル内をあえて歩いてみた。怖い、感動すら憶える。扉を開けて進む雰囲気は‘バイオハザード1’に匹敵する。探検終了、3分であった。しかし部屋に帰ってみるとさっきと何か違う。誰かいるような、見られているような、明らかに人間の視線であるのが分かるのだ。振り向けば必ずいる・・・確信した。怖い思いをした後だからと思うのだが、もはや止まらない。窓、鏡、反射するもの全てに覆いをつけて寝ることに、しかし部屋にある全てのものが高級アンティーク、寝てるベッドさえ猫脚なのだ。布団をかぶって寝るが空気が重い、湿気ではない。心臓バクバクである。でも疲れていたから寝た。
  翌朝、一人のお客様の顔色がよくない、聞いてみると眠れなかったとの事。話によるとこうだ、私が探検している同時刻、そのお客様の部屋では、板張りの床から四本の白い手首が現れ、ベッドの足を持ち揺らし続けていたそうな。私の部屋とは近くで私が廊下を歩いていたのは分かっていたそうだが、声をあげようとしても声が出ず、恐怖の夜だったそうな。
 
この歴史ある都市は、観光資源として一級品であり、ホテルは大変格式が高く、ホテルマンは最高のサービスをする、レストランに至ってはその地域を代表する最高級な店。いままで食べた全ての料理の5本指に入るものだった。ミシュランの星も最高ランク。各国の皇室も利用したことがある全てにおいて素晴らしい所である事を付け加えておきます。