| ギリシャでの深夜水泳大会 |
| オーちゃん |
| 私が依然、お盆休みのど真ん中の時期、ギリシャに添乗した時の事です。20人を超えるお客様の中に、その会社のツアーには珍しく10代の女の子(高1と中2)が2名も。「ん?」と思いましたが、すぐ納得。両親と一緒の所謂家族での夏休み海外旅行というやつでした。出発前は回りの同僚たちから「大変だよ、最近のコギャルなんて生意気でさ」と脅かされました。私も「変な子達だったら嫌だな」と思ってましたが、成田空港でご両親に連れられたその姉妹は世間で言うところの「コギャル」なんかとはまったく違ったおとなしい感じの子達でした。外見も、事前に知らなければ中学生と小学生という感じでした。 現地に着いて観光がスタートしましたが、食事のとき、最初は家族4人でテーブルを囲んでいましたが、数日たつと、ご両親は他のご夫婦を誘ってビールを飲みながら盛り上がるようになってきました。子供たちには「ほら、お前たち、添乗員さんと一緒に食べてきなさい」という事になり、食事は常に一緒のテーブルに。食事中にクラブ活動のこと、勉強のこと等学校や家庭の話をしながら毎回の食事となりました。ある日、オリンピック発祥の地オリンピア近郊のホテルに宿泊した際の夕食時、いつもと同じように2人の子供たちとテーブルを囲んでいると、「このホテルのプール、屋外で照明がついてたけど、夜も泳げるんですか?」と。「うん、24時間泳げるよ」と言うと、「夕食終わったら泳ぎに連れてってくださいよ」と。いつもならば二つ返事でOKするのですが、この時は、メチャメチャな暑さで体調不良になっており、婉曲的な断りとして、「いいけど、お父さんやお母さんがいいっておっしゃらないと駄目だよ」と答えました。私としては、ご両親が「添乗員さんは疲れてるんだから辞めなさい」と言ってくれると思ってこう答えたものです。しかし現実は逆でした。母親が、「すみませんね、プールに連れて行ってくださるそうで。宜しくお願いします」と言われてしまいました。こうなったらもうヤケクソと思い、ついに深夜の水泳大会になってしまいました。2人の姉妹は大喜びで泳いだり写真をとったり、夜中まで遊んでました。翌朝、疲労困憊の体を引きずり、モーニングコールをかけ、朝食に降りていくとその子達のご両親が「昨夜は有難うございました。2人は朝食いらないと言ってまだ寝てるんですよ」と。「俺も朝食パスして寝ていたい!」と思いました。その日からその子達の私への呼び方が「添乗員さん」から「お兄さん」に変わりました。私も「こうなったらとことん、楽しい家族旅行の思い出作るのに協力してやれ」と具体的な24時間勤務(夕食後のプールやゲーム、話等)にしました。私自身も、幼少の頃、家族で箱根や山中湖に行った時の楽しい思い出をとても大事に感じてましたので。と同時に、「こういう旅行もほのぼのしていいな」と感じました。その会社のツアーは高齢者を対象にした、長期間(このギリシャのツアーも15日間でした)、高価格(絶対値の問題ですが)で、若い夫婦や家族連れが参加し易いとは言いがたいものでした。また、土産店でのショッピング等を排除し、そういったシステムを取り入れてる廉価なツアーを主催してる会社を馬鹿にするというかさげすんでいるという雰囲気が感じられました。このツアーでひとつ私の「ツアー観」というものが増えたことは確かで、この姉妹(家族)には本当に感謝してます。帰りの飛行機の中でもどうしても隣に座りたいというので3人掛けの席を取り、2〜3時間の睡眠で後はひたすら話してました。 その後しばらく会社から年賀状や暑中見舞いのやりとりが続きましたが、あの子達が私のことは忘れてもかまいませんが、あの「夏の日の家族旅行」を一生の思い出として覚えていてくれるといいな、と思います。(あの時は珍しく私も子供の頃の楽しい思い出を思い出し、両親や弟にお土産を買って帰りました。)私の、添乗業務の喜びの一つです。 |